ギャラクシーデジタルの研究責任者がイーサリアムL2を手数料収益を内部留保しL1に還元しないETH搾取的なシステムだと批判した。
ギャラクシーデジタルのアレックス・ソーン研究責任者は6日、イーサリアム(ETH)のレイヤー2ブロックチェーンがETH搾取的なシステムとして機能していると批判した。
L2ネットワークが取引手数料の大部分を保持する一方で、基盤となるイーサリアムL1への還流は極めて限定的だと指摘している。
EIP-4844後の手数料構造が生む歪み
ソーン氏によると、過去180日間でコインベースのBaseは、オプティミズム(OP)に440万ドルを支払ったのに対し、全L2合計でイーサリアムL1に支払ったblobとガス費用はわずか305万ドルにとどまった。
さらにコインベースは第2四半期にBaseから1490万ドルの手数料収益を上げながら、L1データコストは44万3000ドル、OPへの支払いは216万ドルに過ぎなかった。
多くのL2は単一の企業や財団によって管理されており、ETH保有者に還元される価値は非常に少ない。
多くのL2は手数料として徴収したアルトコインをステーキングすらしていないとソーン氏は述べた。
EIP-4844の実装後、L2のblobコストとL1ガス支出は1日約1万ドル程度で推移している。
一方でL2は1日当たり10万から40万ドルのユーザー手数料を稼いでおり、チェーンの運営費用を含めても十分な利益マージンが生まれていると分析する。
特に問題視されているのは、Baseがオプティミズムに支払う金額がイーサリアムL1を大幅に上回っている点だ。
OPはBaseからイーサリアムの4.8倍もの収益を得ていると指摘し、真のETH連携とは言えない状況だと批判している。
分散化とガバナンスの課題
ソーン氏の批判は、L2の分散化プロセスにも及んでいる。
BaseはL2Beatのデータアグリゲーターで4月に中間層のステージ1に移行したが、L2の多くが企業や財団による中央集権的な管理下にあることが、価値還流の偏りを生んでいると指摘されている。
この構造的課題について、彼らは真のETH連携ではなく、ETH搾取的に見えると総括。
L2オペレーターや上位の集合体と、イーサリアムメインネット間でどの程度の経済的価値を分配すべきかという長年の議論が再燃している。
next