金担保ステーブルコイン、市場規模40億ドル突破|年初から3倍

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金担保型ステーブルコインの時価総額が40億ドルを突破し、年初から約3倍に急増した。金価格の高騰や地政学的リスクを背景に成長。

金担保型ステーブルコイン市場はこのほど、40億ドル(約6200億円)を突破した。2025年の年初には約13億ドルだった市場規模は、12月中旬時点で約3倍に急拡大している。

市場を牽引しているのはテザーゴールド(XAUt)で、時価総額は約22億ドルに達し、市場シェアの約50%を占めている。これに次ぐのがパクソスゴールド(PAXG)で、時価総額は約15億ドルとなっている。

これら2つの主要銘柄だけで、トークン化された金市場全体の90%近くを構成している状況だ。

物理的な金を裏付けとして発行

金担保型ステーブルコインは、各トークンが特定の重量(通常は1トロイオンス)の物理的な金に対する所有権を表す仕組みで運用されている。

裏付けとなる金は承認された保管業者の安全な保管庫で管理されており、透明性を維持するために定期的な監査が行われている。

テザー社は2025年9月末時点で約116トンの金を保有しており、この分野への機関投資家の関心が高まっていることを反映している。

金価格の高騰などが影響

この市場の急激な成長は、マクロ経済および地政学的な要因が複合的に作用した結果だ。

2025年の金価格は年初来で約66%上昇しており、インフレ圧力や地政学的な不安定さ、そして基軸通貨としての米ドルに対する信頼の低下が背景にある。

特に中国、インド、トルコなどの新興国の中央銀行は、2024年に1000トン以上の金を準備資産に追加しており、世界的な金融システムの構造変化と脱ドル化の傾向を示唆している。

また、機関投資家による採用も重要な推進力となっている。

米国における「GENIUS法」のような法的明確性を提供する規制枠組みの下、機関投資家の86%がデジタル資産を保有するようになった。

中東や東欧での地政学的危機の際、金担保型ステーブルコインの取引量は前年比で900%急増し、安全資産としての需要が高まった。

物理的な金価格が1オンスあたり4300ドルのピークに達した際も、PAXGやXAUtはその価値を維持し、不安定な市場において安定した価値の保存手段として機能した。

新興国での需要増加

ナイジェリアやアルゼンチンのようなインフレが自国通貨の価値を侵食している新興国では、住民が経済変動へのヘッジ手段としてトークン化された金を積極的に利用している。

また、分散型金融(DeFi)分野でも有用性が高まっており、XAUtはAaveやCurveといったプラットフォームで高い流動性を持ち、PAXGはNexoなどの金融サービスで使用されている。

一方で、課題も残されている。2025年の極端な市場ストレス時には、金担保型ステーブルコインがビットコイン(BTC)並みのボラティリティ(価格変動)を示した場面もあった。

物理的な金が価格ショック後に素早く安定したのに対し、トークン化された金は限定的な回復挙動を見せたことから、ヘッジとしての性能は市場の信頼やインフラの堅牢性に依存することが示唆される。

アナリストは、中央銀行による継続的な需要や脱ドル化のトレンドにより、金価格が2028年までに1オンスあたり5000ドルに達すると予測している。

トークン化された金はこの需要の受け皿として成長を続けると見られるが、USDTなどの従来のステーブルコインと比較すると市場規模は依然として小さく、今後のさらなる普及が注目される。

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