高級ファッションブランドのグッチが、一部米国店舗でETHやDOGEなど仮想通貨での決済を導入。若者へのアピールとWeb3戦略の一環だ。
高級ファッションブランドのグッチは8月29日、米国の一部店舗において、イーサリアム(ETH)やドージコイン(DOGE)を含む暗号資産(仮想通貨)での決済受け入れを開始した。
この動きは、同社が2022年にビットペイとの提携を通じて一部の米国店舗で開始した仮想通貨決済の試験的プログラムを拡大するものだ。
今回の導入は、NFTマーケットプレイスVault Art Spaceを含む、グッチの包括的なWeb3戦略の重要な要素と位置付けられている。
若年層へのアピールと業界の動向
決済処理はフィンテックパートナー企業が担当し、顧客が仮想通貨で支払うと即座に米ドルへ換金される仕組みだ。
これにより、グッチは価格変動リスクを負うことなく、顧客に新たな支払い選択肢を提供できる。
報道によると、このサービスは現在、米国内の限られたブティックで利用可能となっている。
グッチが仮想通貨決済を導入した主な目的は、デジタル資産やブロックチェーン技術に高い関心を示す若年層の顧客獲得にある。
業界分析によれば、この動きは変化する消費者の嗜好に対応するものであり、仮想通貨に精通した買い物客は高級品市場で存在感を増している。
ビットペイやコインベースといった決済処理業者との提携は、仮想通貨を法定通貨にリアルタイムで交換することで、価格変動という大きな課題を解決する。
この仕組みが、高級ブランドにとって商業的に実行可能な統合を可能にした。
この取り組みはファッション業界全体の広範なトレンドとも一致する。
すでに20以上の高級ブランドが何らかの形で仮想通貨決済を導入しており、セクター全体でデジタル資産の統合へ向かう動きが鮮明になっている。
イーサリアムのような主要な仮想通貨だけでなく、ミームコインであるドージコインを含めたことは、多様な仮想通貨ユーザー層にアピールしようとするグッチの姿勢を示している。
市場への影響と今後の展望
グッチの決済システムは、取引時にデジタル資産を即座に米ドルへ変換するインフラを活用している。
この技術的アプローチにより、同社は価格変動の激しいデジタル資産を保有する財務リスクを負うことなく、仮想通貨決済の選択肢を顧客に提供できる。
当初はミームとして作られたものの、現在では多くの個人に保有されているドージコインを決済手段に含めた決定は、大手ブランドが様々な種類の仮想通貨をどのように認識しているかについて、注目すべき変化を表している。
業界アナリストは、この展開がデジタル資産を投機的な対象から正当な商業ツールへと移行させる動きを加速させる可能性があると指摘する。
一部のアナリストは、このような著名な小売業者による採用を受け、イーサリアムの価格目標を2万2000ドル前後と予測している。
グッチの親会社であるケリングは、この仮想通貨決済オプションを試験的な枠組みで評価する方針だ。
今後の拡大は、最初の対象店舗における顧客の利用状況や運用実績によって判断される。
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