ハイパーリキッドとBNBチェーンがデリバティブ取引を背景に手数料シェアを拡大。年初首位のソラナは9%に急落し、市場構造が変化した。
暗号資産(仮想通貨)分析プラットフォームのCryptoRankは28日、ハイパーリキッドとBNBチェーンがレイヤー1ネットワーク手数料の大半を占めていると報告した。デリバティブ取引の急増を背景に市場シェアが大きく変動し、年初に優位だったソラナは後退している。
デリバティブ取引が牽引するハイパーリキッドの躍進
CryptoRankのデータによると、レイヤー1ブロックチェーンが生成する総手数料のうち、ハイパーリキッドが40%以上、BNBチェーンが20%以上を占める結果となった。
これは、2025年初頭にソラナが50%以上のシェアを保持していた状況から劇的に変化したことを示している。ソラナの現在のシェアはわずか9%にまで落ち込んだ。
ハイパーリキッドの手数料収益は、2024年10月の240万ドルから2025年10月には4100万ドルへと、前年比で1600%という驚異的な増加を記録した。10月28日時点での日次ネットワーク手数料は2000万ドルを超え、BNBチェーンやイーサリアムを大きく引き離し、主要ブロックチェーンの中で首位に躍り出た。
この急成長の主な要因は、デリバティブ取引への戦略的集中だ。特に、パーミッションレスな無期限契約を可能にする「HIP-3」の導入が起爆剤となった。ミームコイン取引と比較して一件あたりの手数料が高いデリバティブ取引が活発化したことで、手数料の勢力図が塗り替えられた形だ。
BNBチェーンの戦略とソラナの課題
BNBチェーンのシェア拡大は、バイナンスの取引所サービスBinance AlphaやBinance Walletとの深い統合が大きく貢献している。これにより、個人投資家がスムーズに参入できる環境が整い、多くの活動がBNBチェーン上に流れ込んでいる。
さらに同チェーンは、競争力を維持するために手数料の引き下げを積極的に提案している。最近では、ガス代を半減させ、平均取引コストを約0.005ドルまで引き下げることを目指しており、低コストチェーンとしての地位を固めようとしている。
対照的に、ソラナのシェア低下は、ミームコインエコシステムの活動が鈍化したことと関連している。市場全体が、より高速で安価、かつ優れたデリバティブ機能を提供する代替チェーンへと移行する傾向が見られる。
業界の分析では、ソラナが今後市場シェアを回復するには、ユーザーの注目を集める新たな分散型アプリケーションの登場や、再び投機的なサイクルが生まれる必要があると指摘されている。
仮想通貨デリバティブ市場の成長が続けば、ハイパーリキッドとBNBチェーンが優位性を維持する可能性が高い。
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