インドネシア政府が国家準備金戦略として、ビットコインの組み入れについて協議を開始。デジタル経済でのリーダーシップを目指す。
インドネシア政府は5日、国家準備金を多様化する戦略の一環として、ビットコインを(BTC)組み入れる可能性について予備的な協議を開始した。
この動きは、副大統領府とアジア最大のビットコインコミュニティBitcoin Indonesiaとのハイレベル会合で浮上した。
中央銀行デジタル通貨(CBDC)との連携も視野に入れている。
ビットコインの準備資産化、外貨依存の代替案に
協議は、国家準備資産を金や外貨に加えて多様化させる動きの一環とされる。
特に、インフレリスクの管理や国際通貨に対する過度な依存を軽減する手段として、ビットコインが候補として浮上した。
提案の発端は、2025年5月に国家ファンドDanantaraが政府に対してBTCの一部割り当てを提起したことにある。
これを受けて副大統領府がBitcoin Indonesiaと意見交換を行い、マクロ経済におけるデジタル資産の役割が議論された。
Bitcoin Indonesiaによれば、会合では地熱や水力などの再生可能エネルギーを利用した国内マイニングの導入可能性についても提案がなされた。
マイニングで得たBTCを準備金に充てることで、外貨を用いずに資産を蓄積するモデル構築を目指す考えが示されたという。
慎重な金融当局、導入には段階的対応も
一方で、導入には慎重な見方も根強い。
インドネシア金融サービス庁(OJK)のマフルズ・アッバス長官は、暗号資産(仮想通貨)の国家活用には堅牢な規制環境と国民の理解が不可欠だと述べている。
特に、マネーロンダリング対策や資産価格の変動リスク管理に関する法制度の整備が優先される見通しだ。
また、OJKは教育面の不足にも懸念を示しており、新しい仮想通貨に対する国民理解を深めるための啓発活動や公共キャンペーンの必要性を指摘している。
これにより、資産保有や運用に対する信頼性を高めることが、制度的な導入の前提条件になるとしている。
今回の動きは、2045年に迎える独立100周年に向けた国家開発ビジョンIndonesia Emas 2045の一部としても位置付けられている。
ビットコインの法定通貨化を進めたエルサルバドルとは異なり、インドネシアは資産の多様化という観点からのアプローチをとっている点が特徴だ。
現時点では導入に向けた時期や割合など具体的な枠組みは明らかになっていないが、政府は今後も関係省庁や専門家との協議を続ける方針を示している。
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