日本ブロックチェーン協会が暗号資産税制の改正要望。現行の最大55%の総合課税から、株式と同様の一律20%申告分離課税に変更へ。
日本ブロックチェーン協会(JBA)の加納裕三代表理事は18日、2026年度の税制改正要望書を政府に提出した。
現在最大55%の累進課税が適用される暗号資産(仮想通貨)の売却益について、株式などと同様の一律20.315%の分離課税導入を強く求めている。
JBAは、現行の雑所得としての総合課税が個人投資家の参入意欲を大幅に削いでおり、日本の暗号資産保有率が世界平均を下回る主要因と分析している。
日本の保有率は世界主要国を大幅に下回る
JBAの調査によると、日本の暗号資産保有者は全人口の約4.5%にとどまっている。
これはシンガポールの24.4%、米国の15.5%、韓国の13.6%、ドイツの8.3%と比較して著しく低い水準となっている。
同協会が外部調査機関に依頼して実施したアンケートでは、回答者全体の約75%が源泉分離課税の導入を希望していることが判明した。
これは税率の問題だけでなく、取引履歴の確認や損益計算、確定申告といった煩雑な手続きが参入障壁となっている実態を浮き彫りにしている。
現行制度では、売却益が雑所得として総合課税の対象となり、住民税と合わせて最大55%の税率が課される。
これは株式投資の20.315%と比較して極めて不利な状況となっている。
金商法移行と源泉分離課税の選択制も提案
今回の要望は、ビットコイン(BTC)などの暗号資産を金融商品取引法の下で規制する議論が本格化している時期と重なっている。
JBAは仮想通貨投資の社会的位置づけが決済手段から資産形成の手段に変わりつつある現状を踏まえ、分離課税導入が極めて重要と強調している。
具体的な要望内容には、損失を出した年の翌年以降3年間にわたって損失を繰り越し、将来の利益と相殺できる制度の導入も含まれている。
また、取引が特定の口座で完結する場合には、顧客が申告分離課税か源泉分離課税のいずれかを選択できる仕組みも提案している。
JBAは2014年の設立以来、暗号資産に関する消費税の非課税化や法人保有暗号資産の時価評価課税見直しなど、政策提言活動を通じて制度整備に寄与してきた実績がある。
加納代表理事は記者会見で、金商法による規制議論が本格化している今こそ制度面からWeb3産業の基盤を整えるべきタイミングと述べている。
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