JPモルガン・チェースは2025年末までに、機関投資家向けにビットコインとイーサリアムを融資担保として受け入れる計画を発表。
投資銀行大手のJPモルガン・チェースは24日、機関投資家向けにビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を融資担保として受け入れる計画を明らかにした。
時価総額で世界最大の銀行である同行は、2025年末までにこのグローバルプログラムを開始する予定だ。
担保として差し入れられた仮想通貨は第三者カストディアンが安全に保管し、銀行自体は暗号資産(仮想通貨)を直接保有しない仕組みとなる。
大量の仮想通貨を保有する機関投資家にとって、長期保有ポジションを売却することなく流動性を確保できる手段として注目される。
ETF担保から実物仮想通貨へ拡大
JPモルガンは2025年6月、ブラックロックの現物ビットコインETFなど、仮想通貨連動の上場投資信託を担保とする融資を開始していた。
その際の融資比率は最大25%だった。
今回の新プログラムはETFを超えて、実際の仮想通貨そのものを担保として受け入れる点で大きく前進している。
同行にとって2025年半ばの仮想通貨ETF担保プログラム以来、最大規模の暗号資産への進出となる。
同行は2022年にビットコインを担保とする融資の検討を始めたが、プロジェクトは遅延していた。今回ようやく実現に至った形だ。
トランプ政権下の規制緩和が後押し
JPモルガンがこの決定に至った背景には、複数の要因がある。
仮想通貨に友好的なトランプ政権により、従来の金融機関が暗号資産を統合しやすい環境が整ってきた。
市場動向も重要な役割を果たしている。
ビットコイン価格は2025年に最高値を記録し、価値ある資産クラスとしての正当性を高めた。
さらにモルガン・スタンレーなども仮想通貨を深化させていることから、業界全体の流れとしてJPモルガンも追随する形となった。
興味深いのは、同行のジェイミー・ダイモンCEOが長年にわたり仮想通貨に懐疑的だった点だ。
ダイモン氏はかつてビットコインを「誇大宣伝された詐欺」「ペットロック」と表現していた。
しかし最近では姿勢を軟化させ、「ビットコインを買う権利を守る。どうぞお好きに」と述べている。
ブロックチェーン技術への幅広い展開
この新担保プログラムは、JPモルガンのより広範なブロックチェーン技術統合の一環だ。
同行はステーブルコインの代替となるブロックチェーンベースのJPモルガン・デポジット・トークン(JPMD)を開発。
カーボン市場、サプライチェーン金融、国際送金で1日20億ドル以上を処理するキネクシス・ブロックチェーン・ネットワークも拡大している。
第三者カストディアンに依存し、銀行が直接保管しない構造は、機関投資家と規制順守への懸念のバランスを取る慎重なアプローチを反映している。
業界アナリストは、この動きがウォール街の中核的な融資インフラへの暗号資産の急速な統合を示していると指摘する。
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