JPモルガンは、ソラナETFの初年度純流入額を約15億ドルと予測。投資家の疲労感やイーサリアム優位の認識が背景にあると分析。
米金融大手JPモルガンは9日、ソラナ(SOL)の現物ETFが承認された場合でも、投資家の関心はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のETFほど高まらないとの予測を明らかにした。
投資家の「疲労感」やイーサリアムに対する優位な認識が、ソラナ関連商品への資金流入を妨げる可能性があると指摘している。
ソラナETFら、SECによる承認が今週中(10月6日〜10日)にも下されるとの観測が強まっており、市場の期待感は依然として高い。
初年度で15億ドルの流入か
ニコス・パニギリツォグル氏が率いるJPモルガンのアナリストチームは8日に公開したレポートで、現物型ソラナETFの取引開始後1年間の純流入額を約15億ドルと予測した。
これは、イーサリアムETFの初年度流入額96億ドルを大幅に下回る水準である。
この予測は、ソラナの分散型金融(DeFi)市場における預かり資産総額(TVL)がイーサリアムの約7分の1であるという相対的な規模に基づいている。
この比率をイーサリアムの流入実績に適用し、数値を算出した。
また、2025年7月に先行してローンチしたREXオスプレイ・ソラナ・ステーキングETF(SSK)が約3億5,000万ドルの資金を集めたのに対し、イーサリアム現物ETFは最初の3カ月で23億ドルを集めており、この差も予測の根拠となっている。
ソラナETFへの慎重な見方の背景
アナリストは、ソラナETFへの資金流入が限定的になると見る複数の要因を挙げている。
第一に、スマートコントラクトプラットフォームとしての評価がイーサリアムに及ばず、機関投資家からの魅力が相対的に低い点を指摘した。
第二に、2024年11月以降、アクティブアドレス数が減少するなど、ネットワークの有機的な利用が低下しているデータも懸念材料とされている。
エコシステムが投機的なミームコイン取引に偏っており、実用性主導の採用が進んでいないことも、大規模な機関投資家を遠ざける一因となっている。
さらに、2024年から2025年にかけて相次いだ暗号資産(仮想通貨)関連商品の登場による投資家の疲労感や、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でのソラナ先物がディスカウント価格で取引されている現状も、機関投資家の関心の低さを示していると分析した。
グレイスケール・ソラナ・トラスト(GSOL)の純資産価値(NAV)に対するプレミアムが、2024年の750%から2025年10月にはほぼゼロまで急落した。
JPモルガンはこれを、市場が米証券取引委員会(SEC)によるETF承認を織り込んでいるものの、長期的な需要は弱いことの表れだと解釈している。
市場の反応と今後の見通し
JPモルガン内でも見解の相違が見られる。ケネス・B・ワージントン氏のチームによる以前の予測では、ソラナETFの流入額を承認後6〜12カ月で27億ドルから52億ドルの範囲と見積もっており、今回の予測を80%以上上回っていた。
一方規制面では、ソラナETFが1940年投資会社法に基づいて登録される点も指摘された。
これはビットコインやイーサリアムのETFとは異なる枠組みであり、販売や保管に関する要件が厳しくなることで、普及の障壁となる可能性がある。
JPモルガンは、GSOLのプレミアム消失が短期的な承認期待を反映しているとしつつも、過去の仮想通貨ETFの例から、承認後のパフォーマンスは期待外れに終わる可能性があると警告している。
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