ジャスティン・サン氏に関連するアドレスが2.2億ドル相当のETHをLidoからAaveへ移動。DeFiの流動性懸念が浮上。
トロン創設者のジャスティン・サン氏に関連するとされるアドレスは27日、6万ETHをLidoから引き出し、その後Aaveに入金した。
この取引は協定世界時プラス8時間の10時13分に実行され、総額約2億2600万ドル(約336億円)相当となる。
巨額資金移動がDeFi市場に与える影響
今回の資金移動は、DeFi市場における潜在的なリスクを浮き彫りにした。
LidoとAaveは、利回り生成戦略で密接に連携することが多い。
Lidoでステーキングされたイーサリアム(stETH)をAaveで担保にし、追加のイーサリアム(ETH)を借り入れて再度ステーキングするループ戦略は一般的だ。
サン氏のような大規模な資金移動は、この仕組みのシステミックリスクを露呈させる。
特に、Aaveのイーサリアム準備金が増加する一方で、Lidoの流動性が減少することで、市場バランスに変化をもたらす可能性がある。
過去にもAaveからの大規模なETH引き出しが金利の急騰を引き起こし、レバレッジをかけたトレーダーがポジションの解消を迫られた事例があった。
今回は逆にAaveへの大規模な資金流入となったが、DeFiエコシステムにおける資金の集中度合いを示している。
過去の動向とstETHへの影響
ジャスティン・サン氏は以前から、取引所とDeFiプロトコルの間でアルトコインを活発に移動させている。
直近では7月24日にも、Aaveから6億ドル相当の資産を引き出し、これがイーサリアム価格の6.5%下落の一因となったことが指摘されている。
今回のAaveへの入金は、変化する貸付インセンティブを利用したり、DeFiにおける担保の構成を変更する可能性がある。
同アドレスがLidoとAaveで保有するイーサリアムは、合計で6億3000万ドルを超えており、新しい暗号資産(仮想通貨)市場における影響力の大きさを物語っている。
さらに注目されるのは、stETHの価格安定性への潜在的な影響だ。
Lidoからの大規模な引き出しは、stETHの供給に変化をもたらし、短期的には価格変動を引き起こす可能性がある。
このような現象は、DeFiエコシステムにおける流動性の変化時に発生しやすく、市場の安定性に影響を与える要因となり得る。
今回のサン氏の動きは、こうした新たなDeFi構造における資金流動性の複雑さを示す事例となった。
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