ビットコインが総供給量95%のマイニングを完了。希少性が高まる一方、市場への直接的な影響は限定的との見方が広がっている。
供給量95%達成の背景と技術的詳細
ビットコインのネットワークは、新規コインの発行数が固定されたモデルで運営されている。約4年ごとに、マイニングによるブロック報酬が半減する仕組みだ。 2024年4月の半減期を経て、現在のブロック報酬は3.125BTCとなっている。この制御された発行モデルが、ビットコインの経済設計の中心をなしている。 また、技術的な詳細として、最初のジェネシスブロックの補助金などが使用不可能な状態にあるため、約230.09BTCは流通しない。 さらに、CoinSharesの分析によると、丸め誤差により総供給量は厳密には2100万BTCをわずかに下回る約2099万9999.9769 BTCになるとされている。ビットコインニュース
米国の仮想通貨ETFは11月10~14日の週、ビットコインETFが11億1000万ドル、イーサリアムETFが7億2900万ドルの純流出を記録し、3週連続の流出となった。特にブラックロック主導の大規模流出が目立つ。一方、ソラナETFは4634万ドルの純流入で13日連続のプラスを維持。CoinSharesによると、世界的なETFからの流出は同週20億ドルに達し、ビットコイン価格は6カ月ぶりに9万5000ドルを下回った。
ビットコイン創設者サトシナカモト氏の保有する約110万BTCの価値は、2025年11月時点で史上最高値から約320億ドル減少した。保有ウォレットは2010年以降休眠状態が続き、流通の可能性は極めて低い。過去のジェネシスアドレスへの外部送金はナカモト本人の関与によるものではない。市場調整やマクロ環境により資産評価は変動しているが、現状ではナカモトのBTCが市場に影響する可能性はほぼないとみられている。
ブロックチェーン分析企業アーカムは、ストラテジーが4万3415BTCを100以上のアドレスへ移動したと報告し、売却観測が市場に広がった。しかし会長マイケル・セイラー氏はCNBCで「噂は事実ではない」と否定し、資金移動はカストディアン変更の一環だと説明。ビットコイン価格が急落したタイミングと重なり誤情報が拡散したが、同社は買い増しを継続しており、最新のSEC報告では487BTCを追加取得し保有は64万1692BTCに達した。セイラー氏は財務体質の健全性を強調し、強気姿勢を維持している。
アメリカン・ビットコイン社は、第3四半期の売上高が前年同期比453%増の6420万ドル、純利益は350万ドルと大幅に改善した。マイニング事業の拡大と戦略的なビットコイン取得により、保有量は3418BTC、マイニング能力も25EH/sへと伸長した。しかし決算発表後、採掘難易度の上昇や電力コストを背景とした慎重な収益見通し、運営費用の増加、さらにビットコイン生産のヘッジ価格が現値を下回っている点が投資家心理を冷やし、株価は下落した。同社は10月2日のグリフォン・デジタル・マイニングとの合併完了後、施設拡張を加速しており、年末までに保有量5000BTC、マイニング能力40EH/sの達成を目標としている。
ビットコイン供給量の節目は希少性を示すものの、市場への直接的影響は小さいと専門家は指摘する。ブロックチェーン分析企業Nansenのケニス氏は、これは短期的な価格要因ではなく象徴的なイベントだと述べ、価格はマクロ環境や規制、普及状況の方に左右されるという。残り5%のマイニングには半減期の影響で100年以上かかり、供給変化は緩やかになる。一方で報酬減少によりマイナーの収益性は低下し、取引手数料への依存が高まる。最後のビットコインがマイニングされる2140年以降は手数料のみが収入となり、ネットワークの持続可能性が課題となる。
