米国のGENIUS法が成立。マスターカードは、規制明確化により金融大手の参入が加速し、主流採用の転換点になるとの見解を示した。
マスターカードのジェシー・マクウォーターズ責任者は18日、米国初のステーブルコイン規制法であるGENIUS法を主流採用に向けた転換点と評価した。
同法は17日に下院で308対122の賛成多数で可決され、トランプ大統領が18日に署名して成立している。
同氏は、待望されていた規制の明確化により、ステーブルコイン市場に対する機関投資家の信頼が高まり、規制の明確性と暗号資産(仮想通貨)への信頼の新時代が始まったと述べた。
100%準備金保有とマネロン対策を義務化
GENIUS法は、ステーブルコイン発行者に米ドルや短期国債などの流動資産による100%の準備金保有を義務付けている。
発行者は準備金の構成について毎月の公開を求められ、透明性の確保が図られる。
同法は消費者保護を重視し、発行者が破綻した場合にはステーブルコイン保有者の請求権が他の債権者より優先される仕組みを確立した。
また、マネーロンダリング防止法の遵守も義務付けられ、薬物取引などの違法行為での利用を困難にする措置が盛り込まれている。
ステーブルコインは、価格変動の激しいビットコイン(BTC)など他の仮想通貨とは異なり、米ドルなど法定通貨との価格連動を目指す点が特徴となっている。
大手金融機関が相次ぎ参入計画を表明
マクウォーターズ氏は、規制の明確化により機関投資家のステーブルコイン市場への信頼が高まったと指摘している。
これまで価格変動の激しさから仮想通貨投資を躊躇していた機関投資家も、安定性を重視するステーブルコインには参入しやすくなると分析した。
GENIUS法の成立を受け、JPモルガン、シティグループ、バンク・オブ・アメリカの大手銀行が相次いでステーブルコイン発行計画を表明している。
シティグループのジェーン・フレイザーCEOは決算説明会で、独自ステーブルコインの発行検討を明らかにした。
アマゾンやアップルなどの大手テック企業も、新法の下でのステーブルコイン活用計画を進めているとされる。
マクウォーターズ氏は、マスターカードも規制環境の変化に積極的に対応し、GENIUS法がもたらす機会を活用する態勢を整えていると述べた。
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