リップル社は、ドル連動ステーブルコインRLUSDの準備金保管にBNYメロンを起用した。機関投資家の信頼性を高め、普及を狙う。
リップル社は9日、同社が発行するドル連動ステーブルコインRLUSDの準備金管理を担う主要カストディアンとして、BNYメロンを選定した。
今回の提携により、総額53兆ドルの資産を保管する世界最大の金融機関の一つがRLUSDの準備金管理に参画する。
RLUSDは2024年12月にローンチした企業向けステーブルコインで、国際決済や機関投資家の利用を想定している。
その準備金は米国債、短期国債、現金同等物で構成され、ニューヨーク州金融サービス局の信託会社ライセンスの下で発行されている。
機関投資家への信頼性強化が狙い
BNYメロンは単なるカストディ業務にとどまらず、RLUSDの運営を支えるトランザクション・バンキング・サービスも提供する。
これにより準備金の円滑な移動や、トークンの発行・償還プロセスを支援する体制が整う。
BNYメロンは2021年にデジタル資産部門を設立し、ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)の分野への関与を深めている。
リップルのジャック・マクドナルド副社長は「BNYメロンの専門知識と革新的なアプローチが決め手になった」と述べた。
今回の提携は、サークル社のUSDCでBNYメロンが果たしている役割と同様の位置付けとなる。
独立した第三者機関による監督体制は、特に機関投資家からの信頼性向上につながると期待される。
規制対応と戦略的拡大への布石
RLUSDの時価総額は最近5億ドルを突破し、7カ月足らずで主要ステーブルコインの仲間入りを果たした。
この成長は、トランプ政権下でのより親クリプト的な規制環境も追い風となっている。
リップルは現在、米国通貨監督庁に対して全国銀行免許を申請中で、連邦準備制度理事会にはマスター口座の開設も申請している。
これらが承認されれば、リップルは準備金を中央銀行に直接保管し、連邦準備制度の決済システムに直接アクセスできるようになる。
米議会では決済ステーブルコインを規制する法案の審議が進んでおり、可決されれば機関投資家向け取引におけるRLUSDの役割がより明確化される可能性がある。
この動きは、新しい仮想通貨の規制枠組み構築にも影響を与えると見られる。
BNYメロンとの提携により、RLUSDは伝統的金融システムとデジタル資産エコシステムの橋渡し役として、より強固な基盤を構築したと言える。
この動きは、国際決済分野でUSDCなど既存ステーブルコインとの競争力強化に向けた戦略的な一歩となる。
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