スペイン最大のサンタンデール銀行が、デジタル銀行Openbankを通じてドイツで個人向け仮想通貨取引を開始。自国へも拡大予定だ。
スペイン最大の銀行であるサンタンデール銀行は16日、デジタル子会社のオープンバンクを通じて、個人向けの暗号資産(仮想通貨)取引サービスを開始した。
このサービスはまずドイツの顧客を対象に提供される。
ドイツでサービス開始、スペインへも展開
サンタンデール銀行のデジタル子会社オープンバンクの発表によると、ドイツの個人顧客は5種類の仮想通貨を売買・保有できるようになった。
対象となるのは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、ポリゴン(MATIC)、カルダノ(ADA)だ。
同行は今後数カ月で対応銘柄を増やす計画だ。
この取引サービスは、オープンバンクの既存のモバイルアプリに直接統合されている。
利用者は別のプラットフォームを準備する必要がなく、シームレスな体験が可能となる。
スペインの顧客への展開は、今後数週間以内に予定されている。
規制明確化とデジタル戦略が参入を後押し
サンタンデール銀行の市場参入は、欧州のデジタル金融分野における競争と規制の明確化が主な要因だ。
フィンテック企業や他の銀行と競合するための、広範なデジタル変革戦略の一環と位置付けられている。
特に、EUの仮想通貨市場規制のMiCAの導入が重要な役割を果たした。
この規制により不確実性が減少し、伝統的な銀行が安全に仮想通貨サービスを提供できる環境が整った。
同行の動きは、市場の変動性を理由に撤退する同業他社とは対照的な、長期的なアプローチを反映している。
さらに、若年層を中心にデジタル資産への関心が高まっていることも、サービス開始を後押しした。
オープンバンクは、確立されたデジタル基盤を活用し、競合他社に先駆けて市場シェアの獲得を目指す。
同行は取引量に応じた段階的な手数料体系を導入し、初心者向けの教育ツールも提供する。
同行は将来的にはフランスなど他の欧州市場への拡大も視野に入れている。
セキュリティ面では、MiCAの要件に準拠した機関投資家レベルのカストディソリューションを利用して顧客資産を保護する。
マネーロンダリング対策プロトコルも厳格に順守され、利用者には本人確認が義務付けられる。
今回のサンタンデール銀行の参入は、機関投資家だけでなく個人投資家にとっても、仮想通貨投資がより身近な選択肢となる。
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