米SECは、グレースケールの複数仮想通貨を含む上場投資信託の承認を再審査すると発表。これにより承認は一時的に保留された。
米国証券取引委員会(SEC)は1日、グレースケール・デジタル・ラージキャップ・ファンド(GDLC)のETF転換承認を一時停止し、委員会レベルでの再審査を開始した。
同ファンドは当初、取引市場部門の委任権限により承認されていたが、SECルール431に基づき委員会が別途指示するまで承認効力が停止された。
GDLCは約7億5500万ドルの資産を運用し、ビットコイン、イーサリアム、リップル、ソラナ、カルダノなどで構成される複合暗号資産(仮想通貨)ファンドだ。
複合資産ETFへの慎重姿勢
今回の再審査は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)以外の仮想通貨を含む商品に対するSECの慎重な姿勢を反映している。
特にGDLCにはSEC自身がリップル社と係争中のリップル(XRP)が含まれており、これが規制上の懸念材料となっている可能性が高い。
どの委員が再審査を要請したかは明らかになっていないが、SECの規則では任意の委員がスタッフレベルの決定について審査を求めることができる。
過去にはETF否認決定に対してこのプロセスが使用されたことはあるが、承認決定の再審査は異例だ。
専門家は、SECが新しい仮想通貨のETFの多様化を認める前に、投資家保護を目的とした包括的な規制枠組みの確立を優先していると分析している。
現在のルール19b-4による個別承認プロセスから、フォームS-1による簡素化された申請制度への移行が検討されているとの報告もある。
業界全体への影響と今後
ビットワイズ、ハッシュデックス、フランクリン・テンプルトンも複合仮想通貨ETFの承認を申請中で、ビットワイズの申請期限は7月31日となっている。
セイファートアナリストは、SECがGDLCを含む全ての申請を統一基準で同時承認する可能性を示唆している。
新たな上場基準が導入されれば、時価総額、取引量、流動性の明確な閾値が設定され、ETF承認プロセスが大幅に短縮される見込みだ。
これにより、75日間の標準的な登録期間後に承認が自動的に有効となる制度が実現する可能性がある。
今回の決定は、SECが単一資産のソラナ(SOL)、リップル、カルダノ(ADA)のETF承認を先行させ、その後に複合資産ファンドの承認を行う段階的アプローチを採用していることを示している。
委員会による最終判断の時期は明らかにされておらず、市場関係者の注目が集まっている。
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