イーロン・マスク氏率いるスペースXが3130万ドル相当のビットコインを移動。10月中の送金は5回目となり資産管理の技術的更新が目的か。
イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXは29日、ビットコイン(BTC)281枚を新たなアドレスに移動させた。これは現在の価値で約3130万ドルに相当し、同社によるBTCの移動は10月に入ってから5回目となる。
SpaceX(@SpaceX) just transferred another 281 $BTC($31.28M) to a new wallet — likely for custody purposes.
In the past 10 days, #SpaceX has moved their BTC holdings three times.https://t.co/zW62EKM2RD pic.twitter.com/XstZgyryOA
— Lookonchain (@lookonchain) October 30, 2025
10月だけで計5回の送金、総額726億円超
ブロックチェーン分析企業LookonchainがArkham Intelligenceのデータを引用して伝えたところによると、スペースXは10月中に計5回の大規模な送金を行っている。
一連の送金は、法人向けの暗号資産(仮想通貨)保管プラットフォームであるコインベース・プライムを通じて実行された。送金総額は4337 BTC、約4億7170万ドルに上る。
この動きは、同社が7月以来初めて仮想通貨を移動させた10月21日から始まった。この日、同社は2回の取引で2495 BTCを送金。その3日後の24日には、さらに1561 BTCを移動させていた。
分析によると、これらの取引は資産の売却を目的としたものではない。古い形式のビットコインアドレスから、より効率的なSegWit(bc1q)やTaproot(bc1p)といった新しい形式のアドレスへ資産を再配置する動きであり、技術的なインフラ更新の一環とみられている。
資産売却ではなく、技術インフラの更新か
マスク氏は2021年、スペースXとテスラの両社がビットコインを保有していることを認めた。その後、2022年末までにスペースXはテラ社やFTXの破綻に続く仮想通貨市場の広範な低迷を受け、保有量を約70%削減したと報じられている。
Arkhamの2024年3月時点の追跡データでは、スペースXに関連する28のアドレスで8285 BTCが確認されていた。
現在の保有量は7258 BTC(約7億9900万ドル)とされているが、最近の取引がデータに完全に反映されていない可能性もある。
今回の送金は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長によるタカ派的な発言を受け、ビットコイン価格が11万ドルを下回る中で行われた。
FRBは政策金利を0.25%引き下げ、量的引き締めを12月1日に停止すると発表しており、こうした金融政策が市場心理に影響を与えている。
スペースXの動きは、 資産管理体制を最適化し、戦略的なポジションを維持する狙いがあるようだ。姉妹会社のテスラは、2022年の弱気相場で保有資産のかなりの部分を売却した後も、依然として1万1509 BTC(約13億ドル)を保有しており、両社の姿勢の違いが浮き彫りとなっている。
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