Terraform Labsの清算人がJump Tradingに対し、TerraUSDの価格操作疑惑で40億ドルの損害で提訴。
Terraform Labsのトッド・スナイダー清算管理人は19日、Jump Tradingと同社幹部を相手取り、40億ドルの損害賠償を求める訴訟をイリノイ州北部地区連邦地方裁判所に提起した。
訴状では、Jump Tradingがアルゴリズム型ステーブルコインTerraUSD(UST)の価格維持に秘密裏に関与し、不正に利益を得たと主張している。
被告にはJump Tradingウィリアム・ディソンマ共同創設者、および2024年に退社した元Jump Cryptoカナヴ・カリヤ社長も含まれる。
2022年のTerraエコシステム崩壊では約400億ドルの市場価値が消失し、仮想通貨市場全体に連鎖的な影響を及ぼした。
秘密合意と価格操作の疑惑
訴状によると、Jump TradingはTerraform Labsド・クォン創設者と2019年から秘密裏に契約を結び、Lunaトークンを大幅な割引価格で取得していたとされる。
具体的には、市場価格が110ドルを超えていた時期に、Jumpは1トークンあたり0.40ドルでLunaを購入していたという。
さらにJumpはベスティング制限の解除を交渉し、通常より早期にトークンを売却できる条件を獲得。
これにより約10億ドルの利益を得たとされる。
2021年5月にステーブルコインUSTが一時的にドルペッグを失った際、Jumpは2000万ドル相当のUSTを購入してペグを回復させたが、公式発表ではアルゴリズムが自動的に機能したと説明された。
清算管理人側はこれを「市場と投資家を欺く行為」と位置づけている。
Jump Trading側の反論
Jump Tradingは訴訟内容を全面的に否定している。
同社はWall Street Journalに対し、「これはド・クォン氏が犯した罪から責任を転嫁しようとするTerraform Labsの必死の試みだ」と述べ、徹底的に争う姿勢を示した。
Jumpは2024年、USTへの関与をめぐり米証券取引委員会(SEC)と1億2300万ドルで和解している。
SECは当時、同部門がアルトコインLunaの売却で約12億8000万ドルの利益を得たと認定していた。
ド・クォン氏は今月、詐欺罪などで禁錮15年の判決を受けた。
今回の訴訟は、崩壊に関与した外部協力者への責任追及として注目されている。
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