テザー社は南米の農業大手アデコアグロ社と提携し、余剰再生可能エネルギーを利用したビットコイン採掘事業をブラジルで開始する。
ステーブルコイン発行大手のテザー社は3日、南米の農業大手アデコアグロ社と、ブラジルにおける再生可能エネルギーを活用したビットコイン(BTC)採掘事業に関する覚書を締結した。
この提携により、アデコアグロ社が保有する230メガワットの再生可能エネルギー余剰分を、ビットコイン採掘に転用する新たなビジネスモデルが実現する。
アデコアグロ社はアルゼンチン、ブラジル、ウルグアイにまたがる21万400ヘクタールの農地を保有し、現在は余剰電力を価格変動の激しいスポット市場で販売している。
新プロジェクトにより価格安定化を図りながら、ビットコインの価格上昇による恩恵も期待できる。
テザー社の技術提供とオープンソース化
テザー社は本プロジェクトにおいて、独自開発のMining OSと呼ばれる採掘管理システムを提供する。
同システムは運用効率と透明性を確保し、エネルギー使用を最適化する設計となっている。
テザー社のパオロ・アルドイーノ最高経営責任者は「農業エネルギー生産と最先端デジタルインフラを連携させる可能性を示すプロジェクト」と述べた。
同社は数カ月以内にMining OSをオープンソース化する計画で、業界標準の確立と技術革新の促進を目指している。
アデコアグロ社のマリアーノ・ボッシュ共同創設者兼最高経営責任者は「再生可能エネルギー資産の価値を最大化する革新的な方法を模索。価格を固定しながらビットコインの上昇の可能性にも参加できる」と説明した。
農業とブロックチェーンの新たな融合
今回の提携は、テザー社が5月にアデコアグロ社の70%株式を取得した関係性を活用したもの。
アデコアグロ社は将来的に、採掘で得たビットコインを農地資産と同様の長期価値保存手段として、バランスシートに計上することを検討している。
このプロジェクトは関連当事者取引として、アデコアグロ社の独立委員会による審査と承認を経て実施される。
農業、エネルギー、ブロックチェーン技術が交わる革新的な事例として、新しい暗号資産(仮想通貨)プロジェクトでも注目される。
テザー社はビットコイン採掘において、エネルギー生産と採掘事業に20億ドルを投資し、2025年末までに世界最大の採掘企業となることを目標としている。
next