トランプメディアがSNS「Truth Social」で仮想通貨報酬を導入。Crypto.comと連携し、活動で得た報酬をCROトークンに交換可能に。
トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)は9日、同社のSNSプラットフォームTruth Socialに暗号資産(仮想通貨)を利用した報酬プログラムを導入した。
この新機能は、Truth gemsと呼ばれるデジタル報酬プログラムで、プレミアムサービスPatriot Packageの加入者限定で提供される。
ユーザーは、Truth SocialやストリーミングサービスTruth+での活動を通じてgemsを獲得し、これをCrypto.comのウォレットシステムを利用してクロノス(CRO)トークンに交換できる。
このアップデートは、拡充されたサブスクリプションサービスの一環であり、デジタル資産による報酬をユーザーエンゲージメントの中核に据えるものだという。
同社は、「ユーザーはTruth SocialとTruth+での様々な活動に参加することで、これらのデジタル報酬を獲得する」と同社は述べ、プラットフォームでの活動と仮想通貨への交換が直接連携することを確認した。
独自トークン開発から戦略転換
今回の決定は、TMTGが以前に示唆していた方針からの転換を意味する。
同社は2025年4月29日付の株主への書簡で、デビン・ヌネスCEOがサブスクリプションやエコシステム内の報酬のためにTruthデジタルウォレット内でのユーティリティトークンの検討を示していた。
しかし、TMTGは独自の仮想通貨を発行するのではなく、Crypto.comのクロノスを採用する道を選んだ。
この背景には、新たなトークン発行に伴う規制や技術的な複雑さを回避し、迅速なサービス展開を目指す戦略的な判断があったとみられる。
同社の内部文書では、「この方針転換は、展開を加速させ、より高い信頼性を確保するのに役立つ可能性がある」と合理性が説明されている。
また、この動きはTruth Socialミームコインが登場するとの市場の憶測が影響した可能性もある。
2025年5月、ドナルド・トランプ・ジュニア氏がそのような噂を「事実ではない」と公式に否定しており、この騒動がミームコインの発行リスクを避け、確立されたエコシステムを活用する判断を後押ししたと考えられる。
Crypto.comとの提携強化
TMTGとCrypto.comの連携は今回が初めてではない。両社は2025年4月に、デジタル資産と伝統的金融を融合させた上場投資信託(ETF)であるTruth.Fiを共同で発表しており、今回の統合の基盤となっていた。
さらにTMTGは、仮想通貨分野への関与を強めている。2025年6月には、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の2資産を対象とするETFを米国証券取引委員会(SEC)に申請した。
申請書類には「各受益証券は、信託の純資産に対する分割不能な受益権の一部を表す。信託の資産は主に、受益証券と引き換えに信託に移転されたビットコインとイーサリアムで構成される」と記載されており、同社の継続的な仮想通貨資産への取り組みを示している。
今回の統合に関して、TMTGはgemsからクロノスへの具体的な交換レートや1日の上限などの詳細は明らかにしていない。
一部のアナリストは、この統合を受けてクロノスの価値が231%急騰し、0.8868ドルに達するとの予測を示しているが、TMTGはこのような予測を支持していない。
同社は、この報酬システムが愛国的金融というテーマに沿ったものであり、規制の枠組みを遵守しつつミームコインの流行とは一線を画すものであると強調している。
next