米政府が海外仮想通貨口座の情報自動取得を検討。CARF導入により仮想通貨の国際的脱税防止と税務透明性向上が期待される。
米ホワイトハウスは17日、経済協力開発機構(OECD)が策定した暗号資産(仮想通貨)報告フレームワーク(CARF)の導入に向け、米財務省が提出した規則案を審査していることが分かった。
国際的な脱税防止の枠組みCARF
CARFは、2022年にOECDが設立した国際的な枠組みである。国境を越えた仮想通貨の取引情報を加盟国間で自動的に交換し、オフショアを利用した脱税を防止することを目的としている。
この規則が承認されれば、米国内国歳入庁は米国市民が海外に保有する仮想通貨口座の取引データを自動で入手できるようになる。
日本、ドイツ、英国などG7の多くの加盟国に加え、シンガポールやアラブ首長国連邦といった主要な仮想通貨ハブを含む数十カ国がすでにCARFを採用している。
財務省の提出資料によると、参加国間での情報交換は2027年に開始される予定だ。
米国における導入の背景と影響
今回の審査は、仮想通貨分野における税務コンプライアンスを強化し、市民が課税を逃れるために資産を国外へ移すことを抑制する広範な取り組みの一環だ。
トランプ政権の仮想通貨諮問チームは以前、CARFの採用を推奨していた。その理由として、米国納税者がデジタル資産を海外取引所に移すことを防ぎ、国内の仮想通貨市場を促進する効果を挙げている。
ホワイトハウスは「CARFの実施は、米国のデジタル資産の成長を促し、報告制度の欠如による競争上の不利益を回避する」との声明を発表した。これにより、米国の取引所にとって公平な競争環境が整うと強調している。
一方で、今回の提案ではDeFi取引に関して新たな報告義務を課さないことが明記された。これは、規制の過剰な拡大を懸念する仮想通貨業界への配慮とみられる。
この動きは、デジタル資産の明確な規制枠組みを目指す仮想通貨明確化法案の検討や、商品先物取引委員会の監督権限を拡大する法案の提出など、米国内で進む他の規制整備と並行して行われている。
政権は仮想通貨に批判的な証券取引委員会の委員長を親仮想通貨派に交代させるなど、デジタル資産に友好的な姿勢を示す一方で、税の抜け穴をふさぐための国際協調は不可欠との立場を示している。
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