ベネズエラ決済大手コネクサスが、ハイパーインフレ対策として、ビットコイン等の仮想通貨を国内銀行システムに統合する計画を公表。
ベネズエラの決済大手コネクサスはこのほど、ビットコイン(BTC)とステーブルコインを国内の銀行システムに統合する計画を開発中であると明らかにした。
コネクサスは、ベネズエラの電子送金の約40%を処理する企業だ。同社が開発するブロックチェーン基盤の銀行間システムにより、国内銀行はビットコインやステーブルコインの取引を直接処理できるようになる。
このプラットフォームが稼働すれば、ベネズエラ国民は外部のデジタル資産プラットフォームを介さず、自国の銀行口座から直接、暗号資産(仮想通貨)の残高を管理できるようになる見込みだ。
ハイパーインフレが後押しする仮想通貨導入
コネクサスのロドルフォ・ガスパリ社長は、この取り組みが法定通貨ボリバルの急激な価値下落に対する安定した代替手段を求める国民の需要に応えるものだと述べた。
多くの国民はインフレから資産を守るため、すでにUSDTなどのステーブルコインを利用している。ベネズエラのボリバルは2013年以降、その価値の99%以上を失った。
2018年にはインフレ率が170万%に達した。2024年時点でベネズエラの仮想通貨導入率は世界13位であり、ステーブルコインの利用は前年比で110%急増したという。
2024年7月から2025年6月にかけて、446億ドル相当の仮想通貨が同国に流入しており、投機目的ではなく実用的な金融ツールとしての利用が拡大している。
民間主導による持続可能なモデル
今回の動きは、ベネズエラの深刻なハイパーインフレと通貨不安が主な要因だ。コネクサスが持つ国内電子送金の40%を処理する強固な市場基盤が、この統合計画の土台となっている。
かつてベネズエラ政府が主導した国家発行の仮想通貨であるペトロが失敗に終わった後、国民の需要に応える形で民間のステーブルコインがその空白を埋めた経緯がある。
このアプローチは、政府が主導し後に国際通貨基金(IMF)の圧力で撤回されたエルサルバドルのビットコイン法定通貨化とは異なる。既存の銀行の枠組み内での統合を優先しており、より持続可能なモデルとして注目される。
ガスパリ社長は、ブロックチェーンが金融取引に高い透明性と安全性をもたらすと強調した。すべての取引は追跡・検証可能となり、正規の銀行システム内でのビットコインやUSDTの流通に対する信頼性を高める狙いだ。
このベネズエラでの取り組みは、ブロックチェーンを活用した銀行内仮想通貨取引の実例となる可能性があり、国内外で注目を浴びている。
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