Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。
イーサリアム(ETH)のヴィタリック・ブテリン共同創設者は18日、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催された開発者会議Devconnectにて、量子コンピュータ技術の急速な進歩に対する懸念を表明した。
同氏は、現在のブロックチェーンセキュリティの根幹をなす楕円曲線暗号が、2028年の米国大統領選挙よりも前に破られる可能性があると指摘している。
これにより、イーサリアムのエコシステムは今後4年以内に、量子耐性を持つ暗号技術への移行を完了させる必要があるという。
予測市場サイトMetaculusのデータを引用し、ブテリン氏は現在の暗号技術を解読できる量子コンピュータが2030年までに登場する確率が20%あると言及した。
専門家の多くは、量子コンピュータが現在の暗号を無力化するQデーを2040年頃と予測しているが、その到来が10年ほど早まる可能性がある。
もし楕円曲線暗号が破られれば、ビットコイン(BTC)やイーサリアムを含む主要な暗号資産(仮想通貨)のセキュリティが根本から揺らぐことになる。
悪意ある攻撃者が秘密鍵を特定してユーザーの資産を盗み出したり、取引を偽造したりするリスクが現実のものとなるためだ。
この警告は、単なる理論上の話ではなく、差し迫った課題として業界全体での対応が求められている。
こうした脅威に対抗するため、ブテリン氏はイーサリアムの開発ロードマップにおける戦略的な転換を方針を示した。
これまではプロトコルレベルでの革新を重視してきたが、今後は量子耐性の確保を最優先事項とする。
具体的には、コアプロトコルの改良よりも、レイヤー2によるスケーリングソリューション、使いやすい仮想通貨ウォレットの開発、そしてプライバシー保護ツールの充実にリソースを集中させるべきだと主張している。
技術的な複雑さを増やすことよりも、ユーザーを守るためのセキュリティ強化と利便性向上に舵を切る形だ。
また、この動きに呼応するように、半導体企業のSEALSQ社などが量子耐性を持つ保護ロードマップを発表するなど、業界全体で対策への動きが加速している。
ブテリン氏の提言は、仮想通貨が長期的に安全なネットワークであり続けるための重要な転換点となりそうだ。
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Coinspeakerの専任暗号資産ライター。2020年から仮想通貨投資を始め、ビットコイン、NFT、DeFiへの投資経験がある。2025年6月にCoinspeakerに加わる。