ウォルマート傘下金融アプリOnePayが、2025年後半にビットコインとイーサリアムの取引・保管機能を追加。仮想通貨の普及を後押しする。
ウォルマートが過半数株式を保有するフィンテック企業OnePayは3日、2025年後半までに暗号資産(仮想通貨)の取引・保管機能をモバイルアプリに導入すると報じられた。
当初はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)をサポートする予定だ。
利用者は保有する仮想通貨をウォルマートでの購入代金やクレジットカードの支払いに充てることが可能になる。
OnePay、ビットコインとイーサリアムに対応
CNBCの独占報道によると、OnePayは仮想通貨インフラプロバイダーのZerohashと提携し、取引および保管業務を委託する。
この提携により、OnePayは自社の金融サービスエコシステムを拡大する狙いだ。
OnePayは中国のWeChatをモデルにした総合金融スーパーアプリを目指している。
すでに高利回りの普通預金口座、クレジットカード、デビットカード、後払い決済、携帯電話プランなど、多岐にわたるサービスを提供中だ。
この動きは、成長する仮想通貨市場へのウォルマートの戦略的な一手と見られる。
米国で週に約1億5000万人が訪れる巨大な顧客基盤を活用し、仮想通貨の普及を促進する。
OnePayはウォルマートとは別の事業体として運営されており、ウォルマートの顧客以外にも広く米国の消費者にサービスを提供できる体制を整えている。
規制緩和と競争が参入を後押し
デジタル資産が主流になりつつある中、伝統的な金融機関も仮想通貨関連サービスの開発やステーブルコインの発行を模索している。
今回の決定も、こうした大きな流れの中に位置づけられる。
重要な要因の一つが規制環境の変化だ。
SECのポール・アトキンス委員長は最近、単一の規制下で複数の金融サービスを提供するプラットフォームを支持する考えを表明した。
同氏は「規制当局は参加者を保護するために必要最小限の規制を提供すべきだ」と述べている。
また、すでに仮想通貨サービスを提供しているペイパルやベンモといった競合の存在も、ウォルマートの市場参入を加速させる要因となった。
Zerohashとの提携は、自社でブロックチェーン技術を構築する必要なく、迅速にサービスを展開するための戦略的な選択だ。
市場アナリストは、ウォルマートの広範な顧客網が、従来の仮想通貨取引所に馴染みのない一般消費者の間で仮想通貨の利用を促進する上で、大きな強みになると指摘している。
ウォルマートでの決済も視野に
OnePayの最大の特徴は、ウォルマートのエコシステムとの連携にある。
将来的には、利用者がアプリ内で仮想通貨を現金化し、そのままウォルマート店舗での支払いやカード残高の返済に充てられる機能が期待される。
デジタル資産と日常の小売取引をシームレスに結びつけるこの構想は、仮想通貨の実用性を大きく前進させるものだ。
また、市場価格の急変動を招くことなく利用できる設計を目指しており、普及の障壁となってきた価格変動リスクへの対策も講じられている。
当初の対応はビットコインとイーサリアムのみだが、将来的には他のアルトコインやブロックチェーン基盤のサービスへ拡大する可能性も考えられる。
なお、この情報はCNBCが事情に詳しい関係者から得たものであり、ウォルマート、OnePay、Zerohashの各社から公式な発表はまだない。
next