ユーロ建てステーブルコイン、MiCA施行後の時価総額が9倍に

MiCA規制施行から1年、ユーロ建てステーブルコインの時価総額が倍増し取引量も急増。規制による信頼性向上が市場回復を牽引。

赤松 柊弥 By 赤松 柊弥 黒川 理佐 Editor 黒川 理佐 Updated 1 min read
ユーロ建てステーブルコイン、MiCA施行後の時価総額が9倍に

Key Notes

  • MiCA施行から1年でユーロ建てステーブルコインの時価総額が倍増.
  • 月間取引量は約9倍の38億ドルに達し、EURSなどが成長を牽引.
  • 米ドル建てに比べ市場規模は依然小さいが、規制整備により信頼性が向上している.

ロンドンの決済企業デクタは1日、ユーロ建てステーブルコインの市場動向を分析した「ユーロ・ステーブルコイン・トレンドレポート2025」を公開した。

欧州連合(EU)の暗号資産(仮想通貨)規制MiCAが2024年6月末に施行されて以降、ユーロ建てステーブルコインの市場環境は劇的に変化している。

施行前の12カ月間で時価総額が48%縮小していたのに対し、施行後の12カ月間では102%増加と完全に反転。

月間取引額も3億8300万ドルから38億3200万ドルへと約9倍に急増した。

MiCA施行で市場が急回復

デクタのレポートは、規制の明確化が投資家の信頼回復につながったと分析している。

MiCAは発行者に対し、準備金の完全担保、透明性の確保、償還権の保証などを義務付けている。

機関投資家や規制を重視するユーザーが、明確な準備金報告とライセンスに裏付けられたステーブルコインを選好する傾向が強まった。

成長を牽引したのは、EURS、EURC、EURCVの3銘柄だ。

マルタ拠点のスタシスが発行するEURSは643.86%増と最も顕著な伸びを見せ、時価総額2億8390万ドルに到達。

サークルのEURCとソシエテ・ジェネラルのSGフォージが発行するEURCVも、取引量がそれぞれ1139%増、343%増と大幅に拡大している。

消費者の関心も急上昇

市場の成長に伴い、消費者の関心も高まっている。

デクタの調査によると、ステーブルコインの購入方法に関する検索数はフィンランドで400%増、イタリアで313%増、ルーマニアで300%増と急上昇。

ドイツ、オランダ、スウェーデンでも280%以上の伸びを記録した。EU全体の平均増加率は198.3%となっている。

一方、マルタでは50%減少するなど、加盟国によって温度差も見られる。

ラトビアも33.3%減と、関心が低下した数少ない国の一つとなった。

市場の回復は顕著だが、ユーロ建てステーブルコインの規模は依然として限定的だ。

現在の時価総額は約6億8000万ドルで、テザー(USDT)やUSDCが支配する米ドル建て市場の約3000億ドルとは大きな開きがある。

MiCAによる厳格な監督体制は、長期ユーザーにとって魅力的な要素となり、海外の仮想通貨取引所での採用拡大にも寄与する。

Disclaimer: Coinspeakerは公平で透明性の高い報道に努めています。この記事は正確かつタイムリーな情報提供を目的としていますが、投資助言ではありません。市場状況は急速に変化するため、投資判断の前に情報確認と専門家への相談を強く推奨します。

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赤松 柊弥

2021年に仮想通貨投資を始める。以降、同分野での専門的な知識を深めながら自身のブログ・ライターとしても活動。仮想通貨に関する深い理解を活かして複数のメディアで多くの記事を執筆。初心者に寄り添った簡潔な解説を得意とする。

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