米SECのピアース委員は、トークン化が規制の重要課題だと述べた。金融プライバシー保護と業界との対話の必要性を強調している。
米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は16日、ワシントンで開催されたDCプライバシーサミットで講演し、トークン化が同委員会の巨大な焦点になっていると明らかにした。
同氏は、SECがトークンの配布規則、取引の分類に関するガイダンス、暗号資産(仮想通貨)の保管に関する問題など、多岐にわたる分野に注力していると述べた。
トークン化市場は現在約310億ドルと評価されており、マッキンゼーの分析によると2030年までに2兆ドルに成長する可能性がある。
トークン化証券への規制整備が加速
トークン化証券は、ブロックチェーン上で所有権をデジタルに表現したものだ。
これは従来の紙や電子証明書と並存するため、複雑な規制上の課題を生じさせている。
ナスダックのような企業がトークン化証券の取引プラットフォームの承認をSECに要請するなど、市場の関心は高まっている。
金融機関が流動性と業務効率の向上を目指す中、トークン化は資本市場全体に大きな変革をもたらす可能性を秘めている。
ピアース委員は、トークン化証券が従来型の証券とどのように相互作用するかといった問題について、市場参加者に対し開示義務を含む連邦証券法を考慮するよう促している。
同氏は8月にも、異なるアプローチで証券や実物資産をトークン化しようとする人々と協力する意思を表明しており、今回の発言はその姿勢を改めて強調した形となる。
金融プライバシー保護の重要性を強調
ピアース委員は講演で、金融プライバシーの重要性についても強く訴えた。
同氏は、政府が個人の金融データに無制限にアクセスすべきではないと主張し、合衆国憲法修正第4条の不合理な捜索からの保護に言及した。
「政府が情報を持つ世界に住みたくない。政府権力が良くない形で使われることがある場所を多く見てきた。自分たち自身を守ることを考える必要がある」と同氏は述べた。
暗号資産のピアツーピア取引の性質は、銀行秘密法やマネーロンダリング対策、顧客確認といった既存の金融規制の根本的な見直しを促す可能性がある。
一方で、米国政府機関閉鎖が仮想通貨ETFの承認を含む多くの取り組みを停滞させている。
ピアース委員はThe Blockに対し、閉鎖とETFについて尋ねられた際「ほとんど何も進んでいない」と述べた。
それでも、SECは新政権下で新しい仮想通貨に対する姿勢を大きく転換しており、規制環境の明確化に向けた取り組みを続けている。
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